2017年08月26日
正月飾りの”掛ダイ””にらみダイ”
正月飾りの”掛ダイ””にらみダイ”
瀬戸内・西日本
瀬戸内地方では、正月にタイ(鯛)を掛ける風習があり、これを掛ダイという。
二尾のタイの口に縄を通して腹あわせに縛り、歯朶(しだ)、譲葉(ゆずりは)などで飾り、
かまどの上や神棚、門松などにこのタイを掛けるのである。
掛ダイにするタイは、初漁の魚がよいとされ、魚屋から買わずに魚師から直接もらい受け、年内に家で干して
正月に掛けることも多かったようである。
そして、この掛ダイを半年間飾って、六月一日に食べるのである。
そうすると、邪気がはらわれるといわれていた。
六月一日とは、氷室の節句などといわれ、宮中では冬、氷室に蓄えておいた氷を賜わったり、民間でも氷餅を食べる習慣があった。
また、正月の餅をこの日に食べるところもあった。
掛ダイは江戸時代のころから西日本にみられる風習で、縁起物とされ、神事や婚礼の儀式などにも多く用いられていた。
お腹とお腹をあわせて結ぶのは、子供がたくさん生まれるようにという子孫繁栄を願う意味とする説、
豊漁祈願やひいては豊作祈願につながるとする説もある様だ。
この腹あわせの魚(双魚紋)は、にほんだけでなく、図形として中国や朝鮮、インドにまでみられる。
掛ダイの風習は、どうやら大陸とつながりをもっているようである。
また、京都や大阪などには、正月の三ヶ日間、祝い膳にタイの姿焼を飾っておく「にらみダイ」の風習がある。
三日間はしをつけずそのタイをにらみ、四日めに豆腐や野菜などといっしょに鍋料理にして食べるのである。
まず神様にそなえ、そのあとで人々が食べるーーー
これを直会(なおあい)というが、この風習も直会の儀式に発していると思われる。
現在でも、この風習が残っており、実際に行っている家庭もあるようだ。
しかし、本来は、二尾のタイをにらみあわせるようにしたのが、いまでは一尾になってしまっているようだ。
byチェリー号船頭の雑学
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瀬戸内・西日本
瀬戸内地方では、正月にタイ(鯛)を掛ける風習があり、これを掛ダイという。
二尾のタイの口に縄を通して腹あわせに縛り、歯朶(しだ)、譲葉(ゆずりは)などで飾り、
かまどの上や神棚、門松などにこのタイを掛けるのである。
掛ダイにするタイは、初漁の魚がよいとされ、魚屋から買わずに魚師から直接もらい受け、年内に家で干して
正月に掛けることも多かったようである。
そして、この掛ダイを半年間飾って、六月一日に食べるのである。
そうすると、邪気がはらわれるといわれていた。
六月一日とは、氷室の節句などといわれ、宮中では冬、氷室に蓄えておいた氷を賜わったり、民間でも氷餅を食べる習慣があった。
また、正月の餅をこの日に食べるところもあった。
掛ダイは江戸時代のころから西日本にみられる風習で、縁起物とされ、神事や婚礼の儀式などにも多く用いられていた。
お腹とお腹をあわせて結ぶのは、子供がたくさん生まれるようにという子孫繁栄を願う意味とする説、
豊漁祈願やひいては豊作祈願につながるとする説もある様だ。
この腹あわせの魚(双魚紋)は、にほんだけでなく、図形として中国や朝鮮、インドにまでみられる。
掛ダイの風習は、どうやら大陸とつながりをもっているようである。
また、京都や大阪などには、正月の三ヶ日間、祝い膳にタイの姿焼を飾っておく「にらみダイ」の風習がある。
三日間はしをつけずそのタイをにらみ、四日めに豆腐や野菜などといっしょに鍋料理にして食べるのである。
まず神様にそなえ、そのあとで人々が食べるーーー
これを直会(なおあい)というが、この風習も直会の儀式に発していると思われる。
現在でも、この風習が残っており、実際に行っている家庭もあるようだ。
しかし、本来は、二尾のタイをにらみあわせるようにしたのが、いまでは一尾になってしまっているようだ。


2017年08月25日
五穀豊穣を願う"和布刈神事”
五穀豊穣を願う"和布刈神事”
福岡県・和布刈(めかり)神社
松本清張著「時間の習俗」の冒頭には、北九州市門司区にある和布刈(めかり)神社で
旧暦一月一日に行われる和布刈神事の場面が出てくる。
この神事は、神社の前でワカメ(和布)を刈りとり、神前に供える行事である。
午前二時すぎ、衣冠帯剣の神官三人が、たいまつや鎌、桶を手に海へ入り、ワカメを刈りとり、桶に収める。
たいまつは三メートルもの大きなもので、このたいまつ以外の火はすべて消されてしまう。
刈りとられたワカメは土器に盛られ、酒や魚とともに神前にそなえられ、五穀豊穣や航海安全などが祈願される。
この神事は神功皇后が三韓に兵を出した際、その成功を感謝して、みずからが神主になって
この瀬戸のワカメを神前にそなえたことに由来しているといわれる。
当日は見物客がおおぜいやってくるが、かっては一般公開されない秘儀であった。
同様の神事は、対岸の下関市楠乃町にある住吉神社でも旧暦一月一日に行われているが、この神社では現在でも公開されていない。
島根県簸川郡(ひかわぐん)大社町の日御碕(ひのみさき)神社でも旧暦1月五日、神前に新ワカメをそなえる神事がある。
byチェリー号船頭の雑学
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福岡県・和布刈(めかり)神社

松本清張著「時間の習俗」の冒頭には、北九州市門司区にある和布刈(めかり)神社で
旧暦一月一日に行われる和布刈神事の場面が出てくる。
この神事は、神社の前でワカメ(和布)を刈りとり、神前に供える行事である。
午前二時すぎ、衣冠帯剣の神官三人が、たいまつや鎌、桶を手に海へ入り、ワカメを刈りとり、桶に収める。
たいまつは三メートルもの大きなもので、このたいまつ以外の火はすべて消されてしまう。
刈りとられたワカメは土器に盛られ、酒や魚とともに神前にそなえられ、五穀豊穣や航海安全などが祈願される。
この神事は神功皇后が三韓に兵を出した際、その成功を感謝して、みずからが神主になって
この瀬戸のワカメを神前にそなえたことに由来しているといわれる。
当日は見物客がおおぜいやってくるが、かっては一般公開されない秘儀であった。
同様の神事は、対岸の下関市楠乃町にある住吉神社でも旧暦一月一日に行われているが、この神社では現在でも公開されていない。
島根県簸川郡(ひかわぐん)大社町の日御碕(ひのみさき)神社でも旧暦1月五日、神前に新ワカメをそなえる神事がある。


2017年08月25日
2017年08月24日
ナマコ、ホヤ、ウニに栄養はあるか?
ナマコ、ホヤ、ウニに栄養はあるか?
ノルウェー、デンマークなどの北欧ではナマコ(海鼠)を海のソーセージというが、ナマコにはソーセージのように栄養は無い。
ナマコにはタンパク質が微量ながら含まれているが、この貴重なタンパク質もコラーゲン繊維の結合組織である為、
消化吸収が良くない。
他には灰分が少しあるだけで、ビタミンや糖質も少なく、ナマコの大部分は水分なのだ。
ホヤ(海鞘)も水分が多く、ナマコと同様、わずかなタンパク質、脂質、糖質とやや多めの灰分のみである。
しかし、ウニは生殖巣を食べるので、栄養的にはすぐれており、タンパク質、脂質も多く、ビタミンA、B1,B2なども含む。
また、ウニの赤褐色の色素となっているエキネノンやエキネクロールAは、ビタミンAと同じ働きを持っている。
ビタミンAは100g中、1200IUある。
ビタミンAには、目や皮膚、粘膜を保護する作用がり不足すると夜盲症になったり、肌荒れしたりする。
また、粘膜が弱くなるため、ウイルスなどが侵入しやすくなり、風を引きやすくなる。
byチェリー号船頭の雑学
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ノルウェー、デンマークなどの北欧ではナマコ(海鼠)を海のソーセージというが、ナマコにはソーセージのように栄養は無い。
ナマコにはタンパク質が微量ながら含まれているが、この貴重なタンパク質もコラーゲン繊維の結合組織である為、
消化吸収が良くない。
他には灰分が少しあるだけで、ビタミンや糖質も少なく、ナマコの大部分は水分なのだ。
ホヤ(海鞘)も水分が多く、ナマコと同様、わずかなタンパク質、脂質、糖質とやや多めの灰分のみである。
しかし、ウニは生殖巣を食べるので、栄養的にはすぐれており、タンパク質、脂質も多く、ビタミンA、B1,B2なども含む。
また、ウニの赤褐色の色素となっているエキネノンやエキネクロールAは、ビタミンAと同じ働きを持っている。
ビタミンAは100g中、1200IUある。
ビタミンAには、目や皮膚、粘膜を保護する作用がり不足すると夜盲症になったり、肌荒れしたりする。
また、粘膜が弱くなるため、ウイルスなどが侵入しやすくなり、風を引きやすくなる。


2017年08月23日
”薬味”わさび、しょうがはあたりよけ
”薬味”わさび、しょうがはあたりよけ
握り寿司についてくるわさびは、味の引き立て役だけではなく、あたりよけの役めをしているのである。
魚は刺身や鮨のように生で食べるほうが、栄養価は高く、消化も良い。
加熱すると、ビタミンは30%近く、水溶性のタンパク質が2~5%、脂肪はそれ以上も失われることになる。
しかし、いくらなまがいいといっても、魚は肉と違って死後硬直後すぐに腐敗が始まり、鮮度が急速に落ちてしまう。
細菌が繁殖しやすいし、水揚げ直後でも、海水中の腸炎ビブリオ菌などがつきやすいのである。
わさびには、殺菌作用があり、生臭みを消すとともに、魚についた細菌の力を弱める働きがあるのである。
わさびのほかにしょうがやさんしょうも同じような薬効があり、さすが”薬味”というだけのことはある。
しょうがの辛味となっているジンゲロンという成分は、強い殺菌作用を持ち、ショウガオールにも同様の働きがある。
鮨についてくるガリも消毒に一役買っているわけである。
しょうがは胃腸にもよく、消化吸収に役立ち、食欲を増進させる役目もする。
ウナギの蒲焼でおなじみのさんしょうも魚肉類の菌を殺す解毒効果があり、
中国では乾燥させたさんしょうの実を煎じて虫下しに使ったりしている。
さらに、酢にも強力な殺菌作用があり、酢の強い酸が魚につく腸炎ビブリオ菌などを殺し、食中毒を防止する。
チフス菌の死滅時間はわさびが10時間前後かかるが、酢は1時間以内、コレラ菌ではワサビ2~3時間であるが、
酢はなんと10分以内であるという研究結果が報告されている。
魚をなまで食べることに固執した日本人がこの酢の効力をいかし、鮨を生んだともいえるだろう。
byチェリー号船頭の雑学
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握り寿司についてくるわさびは、味の引き立て役だけではなく、あたりよけの役めをしているのである。
魚は刺身や鮨のように生で食べるほうが、栄養価は高く、消化も良い。
加熱すると、ビタミンは30%近く、水溶性のタンパク質が2~5%、脂肪はそれ以上も失われることになる。
しかし、いくらなまがいいといっても、魚は肉と違って死後硬直後すぐに腐敗が始まり、鮮度が急速に落ちてしまう。
細菌が繁殖しやすいし、水揚げ直後でも、海水中の腸炎ビブリオ菌などがつきやすいのである。
わさびには、殺菌作用があり、生臭みを消すとともに、魚についた細菌の力を弱める働きがあるのである。
わさびのほかにしょうがやさんしょうも同じような薬効があり、さすが”薬味”というだけのことはある。
しょうがの辛味となっているジンゲロンという成分は、強い殺菌作用を持ち、ショウガオールにも同様の働きがある。
鮨についてくるガリも消毒に一役買っているわけである。
しょうがは胃腸にもよく、消化吸収に役立ち、食欲を増進させる役目もする。
ウナギの蒲焼でおなじみのさんしょうも魚肉類の菌を殺す解毒効果があり、
中国では乾燥させたさんしょうの実を煎じて虫下しに使ったりしている。
さらに、酢にも強力な殺菌作用があり、酢の強い酸が魚につく腸炎ビブリオ菌などを殺し、食中毒を防止する。
チフス菌の死滅時間はわさびが10時間前後かかるが、酢は1時間以内、コレラ菌ではワサビ2~3時間であるが、
酢はなんと10分以内であるという研究結果が報告されている。
魚をなまで食べることに固執した日本人がこの酢の効力をいかし、鮨を生んだともいえるだろう。


2017年08月19日
タンパク質を濃縮した未来食品”マリンビーフ”
タンパク質を濃縮した未来食品”マリンビーフ”魚が苦手の人は、魚の骨、魚のにおいに原因があることが多い。
そんな人にとっておきのニュースがある。
骨もにおいもない魚、マリンビーフが出来たのである。
マリンビーフとは、その名のとおり、海の牛肉である。
魚のくさみがなく、畜肉の舌ざわりを持ち、栄養価の高い、別名”魚肉濃縮タンパク食品素材”
という農林水産省開発の魚の加工食品である。
マリンビーフの製造法は、魚肉に対し、食塩を1%、重曹を0,5%加えて練りあわせ、
ゼリ-状にし、それを顆粒状にしてからアルコールで固める。
アルコールで固める工程が、畜肉に近い硬さや弾力をつける。
その後アルコールを抜き、乾燥させるのである。
マリンビーフは、タンパク質が90パーセントと、大部分を占める。
脂肪はゼロに近いので、魚特有のにおいがないのだ。
水につけておくと、5倍位の重量に膨張する。
マリンビーフは水で戻してひき肉と同じように調理するが、結着性に欠けるので、ハンバーグやミートボールに使うときは、
畜肉を30~50%にたして調理する。
国立栄養研究所でマリンビーフのネズミ実験を行った。
ネズミにマリンビーフ、全卵タンパク質、牛肉タンパク質と、それぞれわけ与えて成長を観察したところ、
マリンビーフのネズミは全卵タンパク質のねずみはより多少は劣ったが、牛乳タンパク質よりは上だった。
消化率もよく、コレステロール値も低いという好参果が出た。
マリンビーフは半永久的に貯蔵できるという。
保存食にも適し、イワシ(鰯)、サバ(鯖)、サンマ(秋刀魚)、スケトウダラ(介党鱈)
などの比較的安値の魚を原料としているので、値段も安い。
その上、栄養価にもすぐれ、成人病予防にもなる高蛋白食品なのである。
現在はまだ試験的に、社員食堂などで利用されている段階であるが、近い将来、一般家庭にも登場することになろう。
byチェリー号船頭の雑学
続きを読む
そんな人にとっておきのニュースがある。
骨もにおいもない魚、マリンビーフが出来たのである。
マリンビーフとは、その名のとおり、海の牛肉である。
魚のくさみがなく、畜肉の舌ざわりを持ち、栄養価の高い、別名”魚肉濃縮タンパク食品素材”
という農林水産省開発の魚の加工食品である。
マリンビーフの製造法は、魚肉に対し、食塩を1%、重曹を0,5%加えて練りあわせ、
ゼリ-状にし、それを顆粒状にしてからアルコールで固める。
アルコールで固める工程が、畜肉に近い硬さや弾力をつける。
その後アルコールを抜き、乾燥させるのである。
マリンビーフは、タンパク質が90パーセントと、大部分を占める。
脂肪はゼロに近いので、魚特有のにおいがないのだ。
水につけておくと、5倍位の重量に膨張する。
マリンビーフは水で戻してひき肉と同じように調理するが、結着性に欠けるので、ハンバーグやミートボールに使うときは、
畜肉を30~50%にたして調理する。
国立栄養研究所でマリンビーフのネズミ実験を行った。
ネズミにマリンビーフ、全卵タンパク質、牛肉タンパク質と、それぞれわけ与えて成長を観察したところ、
マリンビーフのネズミは全卵タンパク質のねずみはより多少は劣ったが、牛乳タンパク質よりは上だった。
消化率もよく、コレステロール値も低いという好参果が出た。
マリンビーフは半永久的に貯蔵できるという。
保存食にも適し、イワシ(鰯)、サバ(鯖)、サンマ(秋刀魚)、スケトウダラ(介党鱈)
などの比較的安値の魚を原料としているので、値段も安い。
その上、栄養価にもすぐれ、成人病予防にもなる高蛋白食品なのである。
現在はまだ試験的に、社員食堂などで利用されている段階であるが、近い将来、一般家庭にも登場することになろう。


2017年08月18日
病人食、離乳食には、なぜ白身魚なのか
病人食、離乳食には、なぜ白身魚なのか
病人や離乳期の乳児の食事に白身魚が登場するのは魚の脂肪と関係がある。
魚の脂肪は、他の食品と比べて少なく、豚肉が全体の約30%、牛肉20%に対して魚は10%しかない。
そのうち、赤身の魚では、なまのサバ(鯖)が100g中16,5g、サンマ(秋刀魚)16,2g、白身魚ではヒラメ(鮃)1,2g
タラ(鱈)0,4gと、白身魚の脂肪分がぐっと少ない。
栄養の面では、白身魚に比べ、ビタミン、鉄分などが赤身の方が上であるほかは、タンパク質量、
消化のよしあしの点でもあまり差がない。
しかし、この脂肪の量に栄養の差が現れているのだ。
魚の脂肪には、心臓病、脳卒中などの成人病を防ぐEPA(エンコサペンタエン酸)が含まれ、
リノレイン酸などの動脈硬化を防ぐ成分も多い。
そうなると病人や離乳食に白身魚が使われているのは、栄養面の理由ではない。
魚の脂質は空気中で酸化されやすく、酸化すると毒を持ち、中毒を起こしやすい。
このため脂肪分の少ない、白身が使われるのである。
また、赤身の魚は、ヒラメ、キス(鱚)などの白身魚にくらべ、よく泳ぎ回るので代謝が激しく、酵素が多い。
いったん魚が死ぬとこの酵素の作用で自己消化が早く進み、鮮度が急速に落ちるので、鮮度が重要視される病人食に赤身は適さない。
味の上でも、脂肪が多いとしつこく感じられる。
さらに赤身には、カツオ節のうまみとして知られている成分であるイノシン酸、グルタミン酸が多く含まれるため、
いっそう味を濃厚にしている。
この点でも赤身魚は病人や乳児には不向きなのである。
byチェリー号船頭の雑学
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病人や離乳期の乳児の食事に白身魚が登場するのは魚の脂肪と関係がある。
魚の脂肪は、他の食品と比べて少なく、豚肉が全体の約30%、牛肉20%に対して魚は10%しかない。
そのうち、赤身の魚では、なまのサバ(鯖)が100g中16,5g、サンマ(秋刀魚)16,2g、白身魚ではヒラメ(鮃)1,2g
タラ(鱈)0,4gと、白身魚の脂肪分がぐっと少ない。
栄養の面では、白身魚に比べ、ビタミン、鉄分などが赤身の方が上であるほかは、タンパク質量、
消化のよしあしの点でもあまり差がない。
しかし、この脂肪の量に栄養の差が現れているのだ。
魚の脂肪には、心臓病、脳卒中などの成人病を防ぐEPA(エンコサペンタエン酸)が含まれ、
リノレイン酸などの動脈硬化を防ぐ成分も多い。
そうなると病人や離乳食に白身魚が使われているのは、栄養面の理由ではない。
魚の脂質は空気中で酸化されやすく、酸化すると毒を持ち、中毒を起こしやすい。
このため脂肪分の少ない、白身が使われるのである。
また、赤身の魚は、ヒラメ、キス(鱚)などの白身魚にくらべ、よく泳ぎ回るので代謝が激しく、酵素が多い。
いったん魚が死ぬとこの酵素の作用で自己消化が早く進み、鮮度が急速に落ちるので、鮮度が重要視される病人食に赤身は適さない。
味の上でも、脂肪が多いとしつこく感じられる。
さらに赤身には、カツオ節のうまみとして知られている成分であるイノシン酸、グルタミン酸が多く含まれるため、
いっそう味を濃厚にしている。
この点でも赤身魚は病人や乳児には不向きなのである。

